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矢野 康英; 丹野 敬嗣; 岡 弘; 大塚 智史; 皆藤 威二
Journal of Nuclear Materials, 555, p.153105_1 - 153105_8, 2021/11
被引用回数:1 パーセンタイル:15.7(Materials Science, Multidisciplinary)今回の研究目的は、400から600Cで熱時効された11Crフェライト/マルテンサイト鋼とSUS316鋼を用いた異材接合部の引張特性と組織評価を実施することとした。微細組織観察はSEMとTEMを用いた。異材接合部の組織は少量の残留オーステナイト組織を含むラスマルテンサイト組織であった。400と450Cで2相分離とG相の形成に起因した熱時効硬化が確認されたが、明確な全伸びの低下は確認されなかった。また、破面としても劈開破壊よりむしろ細かな延性破面が支配的であった。引張強度の増加は2相分離に起因し、軟化相である残留オーステナイト相が延性保持に寄与していることが推察された。
矢野 康英; 丹野 敬嗣; 大塚 智史; 皆藤 威二; 鵜飼 重治*
Materials Transactions, 62(8), p.1239 - 1246, 2021/08
被引用回数:5 パーセンタイル:39.91(Materials Science, Multidisciplinary)FeCrAl-ODS鋼被覆管を製作し、その被覆管の熱時効の影響を調査するために、450C,5000時間と15000時間の熱時効後に、硬さ試験,リング引張試験,TEM観察を実施した。全てのFeCrAl鋼被覆管で熱時効硬化が確認され、延性低下を伴う顕著な強度上昇も生じた。熱時効硬化挙動は(Ti, Al)リッチ相('相)析出とAl7wt%未満の場合は'相析出も起因していると考えられる。同様の組成をもつFeCrAl-ODS鋼を比較した場合、再結晶材と未再結晶材で熱時効硬化は生じるが、後者は延性低下を伴わないことが明らかになった。この挙動の差は、結晶粒界,転位密度,試験片作製方向の影響が起因していると考えられる。本研究は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務として、北海道大学が実施した平成2528年度「事故時高温条件での燃料健全性確保のためのODSフェライト鋼燃料被覆管の研究開発」の中で北海道大学からの委託により原子力機構が実施した研究成果である。
石島 暖大; 上野 文義
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 4 Pages, 2015/05
再処理機器で使用されているNi基耐熱合金(Alloy625)の熱サイクル寿命評価に重要な、クリープ特性に及ぼす熱時効の影響を評価するため、熱時効材および溶体化処理材について1073Kでクリープ試験を行った。その結果、溶体化材では試験応力が100MPa未満では試験途中でクリープひずみ速度が減少するが、熱時効材ではその様な傾向は見られなかった。溶体化材の試験応力によるクリープ挙動の変化は、試験中に金属間化合物が析出するためであることが組織観察およびクリープひずみ速度の挙動から明らかとなった。これらの結果は、再処理機器の運転中に金属間化合物が析出し、クリープ疲労特性が変化することを示唆しているが、試験結果よりその析出は数百時間で終了しているため、実機のクリープ疲労寿命評価には熱時効材のデータを使用する方が適切である。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
沢井 友次; 芝 清之; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.1), p.657 - 661, 2000/12
被引用回数:43 パーセンタイル:90.73(Materials Science, Multidisciplinary)IEAヒートF82HをTIG及びEB溶接し、溶接後歪み取り熱処理(PWHE)を施した後、さらに550での時効を実施した。また、母材の時効を500~650の間で行った。PWHT直後の溶接継手の硬さ分布では、TIG,EBともに溶金部での硬化が認められ、EBではより顕著であった。一方、TIGの場合には明瞭な軟化部が溶接熱影響部に認められた。母材の顕著な軟化は650以上の時効温度で認められたが、硬化したTIG溶接金属は、550での時効でも軟化を示した。溶金部の電子顕微鏡観察の結果、550,3000時間の時効でも、析出物の発生は通常の母材よりかなり少なかった。X線回折によって定められたF82HのTTT線図では、Laves相の発生は550時効の場合は6000時間以上の時効時間が必要とされているが、電子顕微鏡観察では溶金部中には550での3000時間時効でLaves相の発生が見られた。炭化物発生が少ないために固溶W量が多いこと、Laves相の発生を押さえると言われるNbの濃度が低いこと、あるいは凝固時の偏析等、溶金部では母材に比してLaves相の発生による脆化を懸念させる要素があるが時効時間を10000時間に延長してもLaves相は、その成長が顕著でなく、時効温度550に関しては溶金部でのLaves相による脆化は影響が少ないと予測される。
西山 裕孝; 鬼沢 邦雄; 出井 義男; 鈴木 雅秀
JAERI-Research 2000-047, 32 Pages, 2000/10
軽水炉圧力容器内面のステンレス肉盛クラッドに用いられている代表的な2種類の溶接方法、すなわち、エレクトロスラグ溶接(ESW)、サブマージドアーク(SAWM)によってクラッド供試材を製作し、溶接残留応力分布を明らかにするとともに、クラッド材の熱時効及び中性子照射脆化について評価した。クラッド部には降伏応力に達する程度の引張応力、母材溶接熱影響部に圧縮応力が存在することが明らかとなった。40010000hの熱時効においては、ESW、SAWMクラッド材とも降伏応力の上昇、延性脆性遷移温度(DBTT)の高温側へのシフト及び上部棚吸収エネルギー(USE)の低下が生じた。290、1.2~1.510n/cm(E1 MeV)の中性子照射によっても同様な変化を示した。これらの変化は、ESW、SAWMともほぼ同程度であったが、初期値についてはESWの方がDBTTが低くUSEが高かった。また、クラッド材と母材の中性子照射によるDBTTシフトを比較した場合、クラッド材のシフト量は母材に比べて小さいという結果が得られた。
斎藤 滋; 深谷 清; 石山 新太郎; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*; 菊池 満
JAERI-Tech 2000-047, 64 Pages, 2000/08
現在、日本原子力研究所(以下原研)では、核融合炉の実現に向けて定常炉心試験装置(以下JT-60SU)の検討・評価作業を進めている。このJT-60SUの真空容器鋼としては、高強度、低放射化かつ非磁性であることが求められている。しかし既存の鋼種でそれらの要求を満たすものはないため、原研と(株)日本製鋼所は共同でNi,Coが無添加で低Mn型の低放射化非磁性鋼の開発を進めてきた。はじめに合金成分と製造行程の検討を行い、平成9年度までにVC9と名付けた鋼種が有望であるという結果を得た。平成10年度以降はこのVC9のJT-60SU真空容器鋼としての適性評価として、機械的特性・溶接性・耐食性・時効特性などさまざまな特性試験を行っている。本報告書はそれらの結果の中から物理的特性及び時効特性についてまとめたものである。
上平 明弘; 鵜飼 重治
JNC TN9400 2000-035, 164 Pages, 2000/03
高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS鋼:0.12C-11Cr-0.5Mo-2W-0.2V-0.05Nb)は、サイクル機構が高速炉の次期炉心材料候補として開発した鋼種であり、1992年の材料強度基準(暫定案)の策定時に延性脆性遷移温度(DBTT)が評価されているが、衝撃特性において重要な特性の1つである寸法依存性、および上部棚吸収エネルギー(USE)の評価が行われていないといった課題がある。本報告では、PNC-FMS鋼および海外材のデータを用いて、USE,DBTTそれぞれにおける寸法依存性、熱時効効果、照射効果などを評価し、PNC-FMS鋼における製造時のUSEとDBTTの設計値、および熱時効効果と照射効果それぞれの設計式を策定した。得られた主な結果は次の通りである。(1)USEの寸法依存性は「(Bb)のn乗」(B:試験片の幅、b:試験片のリガメントサイズ)を用いて「USE=m(Bb)のn乗」(m,nは定数)の関係として適切に評価可能であること、およびPNC-FMS鋼の場合「n=1.4」となることを明らかにした。「(Bb)のn乗」における乗数「n」は、フルサイズ試験片のUSE(J)と関連付けられ、「n=1.3810のマイナス3乗USE+1.20」の関係式が得られた。(2)DBTTの寸法依存性は「BKt」(Kt:弾性応力集中係数)を用いて適切に評価可能であり、「DBTT=p(log10BKt)+q」(p,qは定数)の関係にあることを明らかにした。PNC-FMS鋼の場合、DBTT=119(log10BKt)-160であった。(3)製造時DBTTの設計値、および熱時効効果と照射効果それぞれの設計式を用いて、照射後のDBTTを推定した結果、350650の照射温度範囲でサブサイズ試験片(幅3mm高さ10mm)のDBTTは180以下であった。
河西 寛*; 鈴木 雅秀
Effects of Radiation on Materials (ASTM STP 1366), p.492 - 515, 2000/03
被引用回数:1 パーセンタイル:65.22(Materials Science, Multidisciplinary)鉄-0.6wt%銅合金の組織の関して、JMTRで290で0.0055dpaまで照射した後、電子顕微鏡を用いて銅の析出挙動を観察し、熱時効材及び純鉄との比較を行った。熱時効材では2種類の銅析出物が観察された。第1のタイプは非常に薄く双晶のないもので、熱時効とともに厚みが増加し、大きさと密度が減少した。第2のタイプは双晶を含む微細な析出で、熱時効による硬化の過程でほとんど変化しない。このため、熱時効による硬化は第1のタイプのものによると考えられた。一方、照射では大きく硬化するが、第1のタイプが消失するのに対し、第2のタイプは消失しなかった。照射材では鉄の(110)回折パターンのうえに、2つの(111)パターンが観察されたが、その一つはCuFeによるもの、もう一つはFeOによるものと考えられた。照射による大きな硬化は前者の生成によるものと結論された。
羽田 一彦
日本機械学会論文集,A, 65(636), p.108 - 115, 1999/08
定常1次応力の下で熱応力が繰り返し作用する構造要素について、熱時効や中性子照射による降伏応力の上昇を適切に考慮し、累積する熱応力ラチェットひずみが許容値内に収まるように繰り返し熱応力の範囲を合理的に定めるための設計手法を開発する。降伏応力が時間とともに上昇する場合の変形挙動は、降伏応力一定の場合とは異なって過渡的な変形モードが新たに現れ、計9つのモードに分類できる。これらの変形モードを生ずる熱応力の範囲並びに熱サイクルごとのラチェットひずみ増分は、当該サイクル及びその1つ前のサイクルにおける降伏応力値により一意的に定まることがわかった。新しく提案した熱過渡事象の発生頻度を統一的に表す時間関数モデルを用い、各変形モードの熱応力範囲及びラチェットひずみ増分を時間の関数として導出した。これにより、ラチェットひずみが許容値内に収まる熱応力の範囲を時間の関数として定めることができた。
渡辺 勝利; 中島 甫; 斉藤 貞一郎*; 高津 玉男*; 小池上 一*; 樋口 洵*
JAERI-M 94-081, 24 Pages, 1994/06
HTTR実機用ハステロイXRの総合特性評価の一環として、母材および溶接継手の時効に基づく引張特性変化を検討した。800、900および1000Cにおいて1000hの時効を施した後、室温および時効温度と同一の試験温度における大気中引張特性試験を行った。得られた結果は従来材と較べて、強度特性に関しては著しい差異は見られず、また延性に関しては、従来材のデータバンドの中に位置していた。これらのことから、実機用母材および溶加材は優れた引張特性を有していると言える。
渡辺 勝利; 田辺 龍彦*; 辻 宏和; 平賀 啓二郎*; 坂井 義和*; 中島 甫; 白石 春樹*
JAERI-M 90-061, 32 Pages, 1990/03
HTTRの制御棒被覆材として使用予定のFe基合金アロイ800Hのクリープ特性に及ぼすHTGR一次冷却材雰囲気の影響及び高温履歴の影響を定量的に評価することを目的として、一連のクリープ試験(試験温度:750~900C、最長試験時間:3552h)を行い、以下のような結果を得た。(1)HTGRヘリウム中と大気中で、破断強度、破断延性及び変形抵抗のいずれにも有意な差は認められなかった。また、今後の中性子照射効果の検討のために行った、遠隔操作型試験機による準アルゴンガス中での試験結果とも有意な差は認められなかった。(2)溶体化処理材(1120C、1h)と2種類の時効処理材(700C、530h及び1050C、3h)の間で、破断強度、破断延性及び変形抵抗のいずれにも顕著な差は認められなかった。(3)本研究で得られたクリープ破断強度は、既存データのばらつき範囲内に収まっており、本合金の特性は比較的安定したものであるといえる。
近藤 達男; 渡辺 勝利; 佐藤 瓊介*; 仲西 恒雄*; 佐平 健彰*; 辻 宏和; 倉田 有司; 塚田 隆; 小沢 賢治*
JAERI-M 86-003, 228 Pages, 1986/02
本報は、特に高温強度特性の向上を目指して ほう素を定量添加したハステロイXRについて行った共同研究の中間段階における成果を纏めたものである。まず、ほう素量最適化に関しては製造条件、溶接性、引張性質、クリ-プ性質、ほう素分布、時効後靭性および腐食特性等について総合的な検討を行い、合金中の ほう素含有量の最適範囲は40~70ppmが妥当であると判断した。さらに、これらの結果をふまえて行った工業規模溶解材についての総合確性試験では、管材、板材の特性を調べ、製品型態すなわち仕上げ行程の違いによる特性改良効果を比較した。板材に比べて管材のクリ-プ特性が、まだ十分に改良効果を発揮していないことが分かった。
鈴木 雅秀; 古平 恒夫; 奥 達雄; 深谷 清
日本学術振興会耐熱金属材料第123委員会研究報告, 27(1), p.11 - 20, 1986/00
原研で開発中の多目的高温ガス実験炉では、圧力容器の使用温度が約400Cとなり、圧力容器材として2 1/4Cr-1Mo鋼が使われることが予定され、検討が加えられている。本報告は2 1/4Cr-1Mo鋼の材料特性の評価をする上で最も基本となる長時間時効特性について一連の実験結果を整理したものである。 以下に得られた結論を列挙する。VHTRの寿命期間で、 1)室温強度の低下は、AN材、NT材ともに軽微であると考えられる。 2)高温強度については、NT材では軽微であるが、AN材では500C以上の試験温度での強度低下が顕著となる。 3)NT材では延性脆性遷移温度の上昇が起こり、破面解析より、寿命末期(400C,20万時間と想定)で60C程度の上昇が予想される。
有賀 武夫; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.1401 - 1405, 1984/00
溶体処理後923kで11,000h時効処理をした316及び316+0.58w/0Tiの析出相の組成分析を行った。316鋼では多種類の析出相が観察され、これらにはMo,Si,Crが多く含まれている。すなわち、316鋼の母相ではMo,Si,Cr量が平均の値より少なくなっている。これに対し、316+Ti鋼では、mC型の炭化物のみが生じ組成に大きな変化は認められない。これらの試料に973kでピーク値で510appmのHeを注入した後電子顕微鏡組織を観察した。時効した316鋼では、非常に小さい気泡が数多く生じており、これらの気泡によるスエリング量は0.3%で、比較のためHeを注入した溶体化処理のままの316鋼のスエリング量の2%に比べて、非常に小さい。これに対して、時効処理をした316+Ti鋼ではかなり大きな気泡が生じ、この気泡によるスエリングは5.5%と非常に大きい。このことは、ステンレス鋼中の気泡の生成・成長は材料組成の局所的な変化に対して非常に敏感であることを示している。
菊地 正彦; 渡辺 勝利; 近藤 達男
JAERI-M 82-052, 31 Pages, 1982/06
多目的高温ガス炉の構造用材料として注目されているハステロイ-Xについて高温ガス炉運転サイクルを近似した熱サイクル時効時の組織変化にともなう機械的性質の変化を調べた。熱サイクル時効条件は頂部保持温度700C~1000Cとし、保持積算時効時間、最長1000時間、熱サイクル数最大125サイクルまで試験を行った。得られた一連の結果のうち、時効後の温室引張延性について注目すると、熱サイクル時効を与えた場合は、各温度波の最高値で恒温時効した場合に比較して組織変化が大きく、これにともなう延性変化も著しくなる傾向が認められた。すなわち、900Cまでの熱サイクル時効では恒温時効に比べて炭化物等の析出が促進され、これにともなって延性の低下が見られるのに対し、最高値を1000Cとした熱サイクル時効では恒温時材料をむしろ上まわる傾向を示した。
鈴木 雅秀; 深谷 清; 菊山 紀彦; 奥 達雄
JAERI-M 9150, 30 Pages, 1980/10
高温ガス実験炉の圧力容器鋼としては、現在2 1/4Cr-1Mo鋼(NT材)が使われる可能性が大きい。本鋼は400C-500Cの温度範囲に保持されると、いわゆる焼きもどし脆化によって脆化することが知られている。ここでは、本鋼種に関して、焼きもどし脆化に与える応力の効果を調べ、検討を行なった。ミャルピー衝撃試験により、脆化は応力レベルの増加に伴ない促進されることがわかり、また、走査型電子顕微鏡により破面観察を行うことにより、脆化は粒界破面率の増加を伴なうこと、また、オージェ電子分光測定により、Pが粒界破面に偏析していることがわかった。これらの実験は、Pの粒界偏析が応力により促進されていることを示唆しており、脆化の促進はその結果と思われる。
木内 清; 辻 宏和; 近藤 達男
JAERI-M 8786, 19 Pages, 1980/03
BWR系軽水炉では、溶接熱影響部で生じるオーステナイトステンレス鋼のIGSCCが最も重要な問題であり、多くの対策が検討されて来た。抜本的な解決法は、合金改良によりIGSCCを生じない材料を作ることである。このために低炭素、N添加の材料が試作されているが、合金の組成を考えた場合、設計コード等のデータベースの確立など実用化迄にかなりの日時と経費を要する。本報の手段は、合金組成は全く変えずに加工熱処理のみにより同様な効果を得ようとするものである。この手段は、完全に溶体化処理した素材に十分な加工を加えた後、まず再結晶温度以下の時効温度で十分析出を完了させ、さらにより高温で再結晶を行う方法である。この方法により生じた粒界は、析出物と無関係に存在し、鋭数化処理を施しても粒界SCC感受性を生じないことが分った。IGSCC感受性については、Strauss始め、多くの評価手段を用いて無処理剤と加工熱処理材との対比試験を行ない、最適条件の加工熱処理法を得た。
三浦 信; 日高 康雄; 神谷 和明; 大森 拓郎; 小幡 真一; 田中 康正; 椎名 定; 小笠原 甲士
PNC TN841 79-12, 103 Pages, 1979/03
新型転換炉用新材料被覆管開発のため,昭和49年度に試作されたZr-1%Nb試作被覆管について,第一報に引続き評価試験を実施した。その結果,引張強さ・破裂圧力などの強度はZry-2と同程度であるが,破断伸び・最大円周伸びなどの延性はZry-2より低い値を示す。水中300における腐食試験ではZry-2と大差ないが,水蒸気中400における試験ではZry-2よりやや大きい腐食増量を示す。また,Zr-1%Nb合金に関する文献データを抜粋してまとめ,さらに,ソ連の軽水炉について要約した。
渡辺 勝利; 菊地 正彦; 近藤 達男
JAERI-M 7395, 33 Pages, 1977/11
引張応力作用下の時効により材料の延性変化を調べる方法を考案し、ハステロイーXその他の材料について試験を行った。時功条件は応力0~22kg/mm、温度500~1000Cの間でいくつかの段階を選び組合せた。所定の時効のあと試験素材から引張試験片を採取して常温引張性質を調べた。さらに応力時効によってひき起された金属組織の変化について光顕ならびに電顕観察によって調べ、延性変化との関係について考察した。ハステロイ-Xの時効による強度特性の変化は応力作用下では無応力の場合よりも促進され、しかも炭化物析出の量、形状、分布などの微細組織の変化と密接に関連していることを明らかにした。また合金間の比較検討にとり、不純物の管理を行って耐食性を高めたハステロイ-XRの場合が応力時効に対する抵抗性がハステロイーXに比して大きく、しかも場合により応力の作用で延性が改善されることもあることを認めた。